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「吃音を受け入れる=”諦める”では無い」受け入れることへの有効性について

  • ユキ
  • 2020年10月13日
  • 読了時間: 4分

更新日:2020年10月14日

 こんにちは、小児専門のSTになって4年目の「ユキ先生」です。 今回は前回に引き続き「吃音」に関する記事です。 「必ず治る治療法はないのか…治すことは諦めて吃音を受け入れて生きていく方法しかないのかな…」

いえいえ、治療法がないから吃音を受け入れることを勧めているわけではないのです

 前回の記事で吃音は自然回復することも多いと述べました。逆に言えば、吃音が残りやすい子もいます。そして、就学以降も吃音症状が見られるお子さんは、吃音が残りやすく長い付き合いになることが予想されます。症状が軽くなったり重くなったりを繰り返すことも多いです。

 さて、書籍やネットの情報で「吃音を受け入れて生きていく」というワードを目にすることも多いのでないでしょうか。僕自身もこの考え方を提唱している一人です。 ただ、中には「治療法が無いから諦めろってことですね。治す努力もしないで受け入れて生きていくってことですね」と、捉えた人もいるかもしれません。

 いえいえ、それは誤解です。なので、あくまでも僕の考えではありますが、「吃音を受け入れて生きていく」の中身を下記に述べたいと思います。

※小学生以上で吃音を自覚している人を対象とした内容です。未就学児さんや吃音を意識していないお子さんは前回の記事をご参照ください。 受け入れる意味  さて、大前提として、話す経験を重ねないと吃音は改善しづらいということがあげられます。どうせ自分は吃音だから…と自信を無くして話すことを避けていると、当然話す機会は減ってしまいます。話すことが怖くなり、いざ話さなくてはいけない場面で余計に緊張で喉が締まる人もいると思います。

 では、吃音のある自分を受け入れた人はどうでしょうか?吃音が出ても出なくても自分の想いを伝えよう!その姿勢は話す意欲に繋がります。当然、話すことが増えれば吃音の頻度も増え、落ち込むこともあるでしょう。しかし、同時に「楽しく話せた・上手く話せた」という成功体験も少しづつ増えていきます。この成功体験を繰り返していくことで、吃音が出たから失敗したという感情は薄れ、話すことへの自信が高まっていきます。

 話していく中で、楽な発声の仕方のコツをつかんだり、喉の緊張の緩和を感じたりすることもあるでしょう。中には話すことに自信がついたことで吃音症状が改善する人もいます。吃音が改善したと思ったけど波があってまた症状が出る人もいます。ですが、過去に吃音を受け入れたことのある人なら悲観することはないはずです。吃音があってもなくても今の自分を受け入れることができるからです。

 吃音を受け入れて生きていく=改善のための第一歩。結果的に思い描いていた改善に辿り着けなくても、前向きに生きていく糧になるもの。というのが僕の考えです。 【ユキ先生にできること】 ・吃音を受け入れるための補助的な役割 ・楽な発声の仕方 ・学校生活や仕事など快適に過ごすための工夫を一緒に考える 【最後にユキ先生の願い】  ここまで読んでいただきありがとうございます。


 いかがだったでしょうか?「吃音を受け入れいれようって簡単に言うけど、現状悩んでいるのに前向きになれないよ」「改善して初めて受け入れられる」、様々な想いや考えを持った方がいられると思います。同じ方法でも効果がある人もいれば無い人もいます。とある発声方法を試し、効果があった人もいれば、逆に意識をしてしまい変なクセが定着して後悔しているという人もいます。

 ご自身に合った療育者(先生)や仲間に出会えることを願っています。”話す”って楽しいですよ。話すことの楽しさに気づいた(思い出した)その時から変わるのだと思います。もし、縁があって僕と話す機会がありましたら、STとしてだけではなく吃音当事者として”話すこと”を一緒に楽しみましょう。  今回のお話は以上です。引き続き発達や特性にまつわる話を書いていこうと思いますので、今後ともよろしくお願いします。それでは失礼します。

 
 
 

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